STORY
ストーリー

9年振りにDuran Duranが帰ってくる!

2017年9月、9年振りとなるDuran Duranの来日公演が決定した。今年は初来日公演から35周年という記念すべき年。また、来年は結成40周年、そして世界中で大ヒットしたアルバム「Seven And The Ragged Tiger」の発売から35周年、大復活を遂げたアルバム「The Wedding Album」から25周年といったアニヴァーサリーが続く。80年代、輝きの真っ只中にいたグループは、今も最前線で世界中をツアーして回っている。時代を超えた彼らのキャリアは、スーパーグループの名にふさわしい存在として音楽シーンに君臨している。  Duran Duranは、2015年に14枚目のアルバム「Paper Gods」をリリースした。アルバムからのシングル「Pressure Off」は、「The Wild Boys」「Notorious」などで彼らの新しい側面を見出したナイル・ロジャース と、前作「All You Need Is Now」をプロデュースし、Duran Duranマニアであることを公言している、今や売れっ子プロデューサー、マーク・ロンソンとの共同プロデュースで話題となった。昨年は、新作でのコラボレーションもあり、ナイル・ロジャースがDuran Duranのサウンドに初めてファンクのリズムを取り入れたアルバム「Notorious」の発売から30年にあたる年ということで、北米ツアーはDuran Duran feat Nail Rogers(Chic)として周り、Duran Duranファンを大いに喜ばせ、大成功を収めている。日本でも、ぜひこのジョイントで観たい!と多くのDuran Duranファンは思っていたはずだ。そしてその思いがついに実現される。9月20日の日本武道館でのステージには、CHIC feat. Nile Rogersの出演も決定したのだ。

80年代、音楽シーンの中心にいたDuran Duran

80年代の音楽は時代が変わっても、常に注目される。当時の音楽が過去の枠にはまらず、今の音楽と繋がりを作っているのは、Duran Duranをはじめとする80年代のアーティストたちが、いかにクリエイティヴで、斬新で、チャレンジを繰り返し、才能ある人たちで溢れていたかを、あらためて感じさせてくれる。  ニュー・ロマンティック・ムーヴメントを牽引し、UKミュージック・シーンを華やかに彩り、ダンス・ミュージックの新しい在り方を表現したDuran Duran。映像と音楽とのコラボレーションにいち早く着手し、MVを通してヴィジュアルでの表現も確立させ、ビートルズ以来のセカンド・ブリティッシュ・インヴェージョンの核として、アメリカでも大きな成功を収めた。そしてアイドル人気から、本物のスーパーグループへと変化していく過程でのさまざまなチャレンジこそが、彼らを成功へと導く原動力となっていった。  1981年3月、ロンドンでデビューしたばかりのDuran Duranにインタビューした。この時から彼らはこのような発言をしていた。「僕たちのトータル・コンセプトは、音楽とファッションを結びつけて、エンターテイメントな世界を展開していくこと。これからのバンドはこういったやり方で新しいものを生み出していかなくてはいけない。70年代のグラム・ロック、パンクに影響を受けた新しい世代によるミュージック・シーンが必ず生まれるはずさ。」とサイモン・ル・ボン。まさに、彼らが確信していた新しい時代は、彼ら自身のチャレンジによって、次世代へと受け継がれていった。

Duran Duranの軌跡

1978年、ジョン・テイラー、ニック・ローズを中心に、バーミンガムで結成されたバンドは、メンバーチェンジを繰り返し、1980年、アンディ・テイラー、ロジャー・テイラー、最後に加入したサイモン・ル・ボンによって、デュラン・デュランとして本格的な活動を始めた。セックス・ピストルズ、クラッシュ、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックなど、ブリティッシュ・ロックの歴史を築き上げたアーティストたちの影響をたっぷり受けた若者5人。そんな若者から生まれた音楽は、ナイト・ミュージックと呼ばれ、新しいダンス・フロアー・サウンドとなった。これは言葉通りのダンス・ミュージックではなく、カテゴリーを飛び越えた新しい音楽ジャンルだった。ロックであり、ファンクであり、ポップである。そんな新しいサウンドが、ダンスフロアーを変えていくという意味だ。そしてそれこそが80年代を代表する音楽となっていった。  80年代のDuran Duranは、故ダイアナ妃が大ファンであるというバンドへ、そして 007シリーズ「美しき獲物たち」で主題歌を担当した国民的バンドへ、さらに全米も制覇した世界的グループへとのぼりつめ、スーパー・スター・バンドになっていった。しかし、そんな彼らも成功の背景に隠された、ビッグ・グループが陥る喪失感を経験している。83年から約10ヶ月に渡って行われたワールド・ツアー終了後、メンバーは消耗しきったエネルギーを回復させるため休養に入る。それを機に、好きなジャンルを追求した、サイド・プロジェクトでの活動を始めた。ジョンとアンディがバーナード・エドワーズをプロデューサーに迎え、ロバート・パーマー、トニー・トンプソンと組んだパワー・ステーションを、一方ではサイモン、ニック、ロジャーによるエレクトリックなサウンドがベースになったアーケイディアが誕生した。当時はDuran Duranを再開させるための発奮材料となるプロジェクトであったのだが、この2つのプロジェクトはDuran Duranの未来を意外な方向へと導くことになっていった。結果アンディとロジャーはDuran Duranに戻ることはなく、残ったサイモン、ニック、ジョンの3人が新生Duran Duranとして活動することになったのだ。

Duran Duranの変化

3人になったDuran Duranは、ナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え、ファンクな要素を取り入れた新しいサウンドを創り「Notorious」が生まれた。故バーナード・エドワードから直接伝授されたジョン・テイラーが奏でるベース・ラインは、新しいDuran Duranの大きな核となり、新生Duran Duranのスタートは好調な滑り出しとなったのだが、その後は、コンスタントにアルバムを発表するものの、大きなヒットには結びつかない歳月が流れた。  その壁を破ったのが、1993年リリースの7枚目のアルバム「The Wedding Album」。Duran Duranはこの作品により、新しいページを開くことになった。「Ordinary World」「Come Undone」のバラード・ヒットは、彼らが80年代のグループという枠から、90年代の今も生きているリアルなバンドであることを証明した。  しかし、そんな新しいページを開いたばかりだったグループに再び危機が訪れた。オリジナル・メンバー、ジョン・テイラーの脱退は、Duran Duranに大きな打撃を与えることとなった。ジョンはソロとなり、パンキッシュなロックン・ロール・アルバムを作ったかと思えば、エレクトリックなサウンドに挑戦したりと、非常に実験的な作品作りを試みた。このソロ時代には、何度かプロモーション、ツアーで来日している。彼にとっては、ドラッグ、酒を一切断ち、ストイックなまでに健康的な生活を取り戻した時期であったともいえる。そしてサイモン、ニックの二人となったDuran Duranは、グループの継続を守り続け、2枚のアルバムをリリースした。

オリジナル・メンバーでの再結成〜現在はサイモン、ニック、ジョン、ロジャーとして活動

2004年、誰もが待ち焦がれたオリジナル・メンバーによる再結成の日が訪れる。サイモン、ニック、ジョン、アンディー、ロジャーが再び集結し、奇跡のメンバーによる活動がスタートする。グループとしては4年振りとなるアルバム「Astronaut」を発表し、この時期に日本武道館でのライヴも行っている。結局、アンディはこの作品のみでグループから再び離れることになったが、その後は4人での活動が今でも続いている。2007年にティンバーランドと組んだ「Red Carpet Massacre」を、2010年には、マーク・ロンソン・プロデュースによる「All You Need Is Now」を発表。そして昨年2015年9月、5年振りのアルバム「Paper Gods」をリリースする。シングルとなった「Pressure Off」は、前述したようにマーク・ロンソンとナイル・ロジャースのプロデュースによる楽曲。まさにDuran Duranを愛する人たちの手で、Duran Duranとはこうあるべきだ、といったサウンドを創り上げた。

Duran Duranは80年代、90年代そして今も走り続けている

2015年9月からワーツド・ツアーをスタートさせたDuran Duran。12月にはUKアリーナ・ツアーを行った。その年の12月8日London O2アリーナでのショウを観たが、新作「Paper Gods」を中心としながらも、Best of Duran Duranの選曲で、これまでの功績をライヴで楽しめるショウとなっていた。最新曲「Pressure Off」からデビュー曲「Planet Earth」へと続く流れは圧巻だ。新旧の作品であっても、自然な流れの中で演奏され、Duran Duranサウンドを堪能できる瞬間となった。全英ナンバーワン、全米ナンバーワンの2曲を外す大胆な選曲でもあったが、(日本では演奏してくれることを望むが。。。)コンセプトやショウの流れは、今の時代を走り続けるDuran Duranのステージであることを証明するものであり、長い間応援してきたファンも、最近彼らを知ったファンでも楽しめる内容になっている。そういった誰もが楽しめるコンサートに、今回はナイル・ロジャーズが参加するわけだ。こんな豪華なショウを見逃すことはできない。
Duran Duranの40年の歴史を、9年間待ち続けたファンと共に楽しむ時間がやってくる。Duran Duranの挑戦が続く限り、音楽シーンはまだまだ捨てたものじゃないって思える。

2017年7月 今泉圭姫子 / Keiko Imaizumi (音楽評論家*Reflex Co.,Ltd.)